飛びすぎるラケットはネットする・・・!?

「飛びすぎるから」といった理由でストリングを必要以上に硬く張ったり、ポリエステルを選んだりすると、さらにアウトが増える結果になることが多くある

カラダの無意識な調整

 「飛ばないラケットはアウトする・・・!?」のなかで「アウトするから」「飛びすぎるから」といった理由でストリングを必要以上に硬く張ったり、ポリエステルを選んだりすると、さらにアウトが増えることが多々あるとことを書きました。

 飛ばないラケットを使うと、カラダは無意識に「ボールを飛ばす動き」に調整してしまい、その調整しないとならない度合いが大きいほどその動きは顕著にでるため「ボールをコートに入れる動き」(回転を与えて制御するなど)が消えてしまい、ただ遠くへ飛ばす運動が強くなり、その結果としてアウトが増えてしまいます。

 これは知識としてストリングを硬くすれば(ラケットそのものをパワーの無いものに変えれば)パワーが減るからアウトはしなくなるだろうという仮説を立てての対策案ですが、コート上では前述したことが起きてしまうのです。

 なぜならば、条件(ここではラケットのパワーを減らす)が変わることでカラダが無意識に運動の調整をしてしまうということが加味されていないからです。

ラケットの性能と反対の動きをカラダがする

 年をとったから、もう少し楽に打ちたいから、ボールのパワーが欲しいからと必要以上にラケットのパワー、もしくはストリングを反発力の高いものやセッティングを求めると、目的に反してパワーダウンしてしまいます。

 スィング診断の中で「よく飛ぶラケット」で打ってもらうと、初めの2〜3球はアウトする場合が多いのですが、カラダはすぐに「ボールを抑える動き」に変化します。

 プレイヤーは基本的にはコートに入れることを前提にプレイしているので(中にはカラダの動かし方や強く打つ事を優先しているように見える方もいますが・・・・)アウトという結果に対してカラダは対処し始めるからです。

頭で考えた対策が裏目に・・・

 カラダの無意識な運動調整を加味せずに、一般的な知識で仮説を立てると「ボールが短い、ネットする」「パワーがたりない」「もっと飛ぶラケットにする(反発の高いストリングやセッティングにする)」となり、その対策がコート上では、ボールが飛びすぎてアウトという結果を招くのです。

 よく飛ぶラケットを使うと、ボールの飛びを抑えるということがカラダの運動調整の主な目的になります。カラダの反応は、技術レベルやスイングのスタイルによって様々ですが、一例を挙げると回転をかけてスピンの量を増やす、スイングを小さくする、インパクトを弱く(グリップを緩める)フォーワードスイング時の地面の蹴りを小さく(床半力が小さくなる)するなどの動きが見られるようになります。その結果、ボールは短くなったり、バウンド後の減速率が高くなったり(バウンド後の伸びがなくなる)してしまいます。

技術課題はラケットチョイス&セッティングミスから

 カラダの運動調整は、ボールを打つ状況が良いときには、ボールの質は落ちるもののコートにキープすることはできますが、追い込まれた状況(バランスが崩れたり、タイミングがずれたり)では正確な運動調整が行えないため、ボールを抑えることができず、明らかなアウトになるケースが多いようです。

 プレイヤーがコートに入れることを前提にプレイしている限り、結果と正反対の事を無意識にカラダは運動調整しているのにも関わらず、明らかなアウトを認識することによって、意識的にもボールを抑えようとします。その結果ボールを抑えようとする動きが過剰になり、ネットしてしまうことになります。

 明らかなアウトの後、もしくはそのアウトのイメージが鮮明にイメージ化されるとネットミスを起こしてしまいます。あなたのネットミスは、実はラケットがオーバーパワーだから・・・ということもあるのです。

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