何かを足そうとすると何かがマイナスになる。対処療法的な足し算ではかえってマイナスが大きくなる場合が多々あります。
+を期待
テニスの上達を願う場合、新しいテクニックや方法論を知れば上達すると考え、「本を買ったり」「スクールに行ったり」しているのだと思います。
ラケットを買い替える場合も同じように「できなかったことができるようになる」ことを期待しての行為ではないでしょうか。
近年テニスメーカーやテニスショップの方々とお話するとラケットの販売が思わしくない、どこもよい話は聞かないと言われます。
景気の問題等様々な要因はあると思いますが、「期待していた結果が得られない」つまり「できなかったことができるようにはならなかった」ことも大きな要因ではないかと思います。
ラケットとプレイの相性診断の現場でも、「私のスイングが悪いから」「技術がないせいもあると思いますが・・・」と皆さん謙虚な姿勢ですが、ラケットをかえることで「できないことができるようにはならなかった」ため、今度は専門家に観てもらおうと参加を決意される方も多いようです。
できることができなくなる
販売されるラケットには、「スピンがかかる」「パワーがあがる」「振り抜きが良いなど」様々な効果をうたったキャッチコピーが使われています。
確かに実験結果に基づいたものだと思います。ただし、それをプレイヤーが使った場合、同じような結果になるとは限りません。
前述した、実験結果をもとにそのラケットを使用すれば「自分のできなかったことができるようになる」だろう、と期待をもってラケットを購入、その結果「できなかったことはできないままで、できたこともできなくなった」という経験をしている方もいっぱいいるようです。
実例として、「ボレーの時に遅れるのでラケットが重いからだと考え、軽いラケットにしたらそれまで打てていたストロークも打てなくなった」「ボールにパワーがないので、パワーがあると言われているものにかえたら、角度をつけたショットがアウトかネットのどちらかになり、コートに入らなくなった」という方がいました。
自分では弱点をカバーする選択が、自分の長所をなくしたり、得意ショットができなくなった例です。
頭で考えるラケット選択は、弱点はカバーして自分の長所、得意ショットはそのままでと考えがちですが、しかし、ラケットという条件が変われば、スイング感覚、打球感覚、打球音、振動、その結果であるボールの情報が(体感覚・聴覚・視覚から)インプットされ、その情報をもとに運動調整が行われ、他のショットにも影響がでてきます。これができたことができなくなるカラクリです。
できなかったことができる場合も
しかし、相性診断ではストロークができない、ボレーができないと言っていたプレイヤーのプレイがどんどん変化して、「できなかったことができるようになる」(ご本人は苦手意識があるので実感までいかない場合もありますが、外から見た姿として)場合が多々あります。
これは、できなかったことではなく、本来はできていてもおかしくなかったのに、現在使用しているラケットとの相性によってできない状態になっていたからです。
それが、相性の良いラケットと出会うことで、封印されていた能力が解放されるように「できなかったことができるようになったように受け取られる現象が起きた」ということです。
ラケットによる上達もある
あなたと相性の良いラケットに出会うと、あなたの実力をグン〜とあげてくれます。相性の良いラケットは無造作に打ってもある程度のコントロール感を得ることができますし、コートに入る確率や安定度、ボールの勢いも増します。
今までと同じ時間の練習をしていても、ボールを打つ数は増え(ミスする回数が減るのでボールを拾いにいったりするデットタイムが少なくなる)、自分のボールの勢いがあがるため、相手から打ち返されるボールの勢いがあがり、より厳しい状況の中で練習をすることになり対応力もあがります。
また、ボールの勢いが増すことで相手を押し込むことが多くなり、自分から展開を作れる状況が増すため、あなたのアイディアを試す機会が多くなり、戦術を意識した経験値を上げることにもなります。
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