○○ができていない、もっと○○して、今のは○○なっていたとコーチ主役の練習では、上達は遅くなる
私が20代中頃にオーストラリアのコーチのレッスンを受けた。
このコーチはハリー・ホップマンというコーチに師事し、後にレッスンの神様と言われ、往年の日本人デ杯選手の多くも教え子としていた。
私のプレーを観察して、どのようなプレーを望むか、そのショットに対して現在どのように感じ、どう思っているかなどを聞いた。
その後、あなたが課題にしているそのショットは、こういう意味や目的があって、目指すところはこうではないだろうかと提案を受けた。
私が同意すると、そのためには何をどのようにするかのアドバイスの後、球出しやラリー形式でトライを求められた。
数球から数十球、もしくは数分間、状況を設定した練習の後、あなたはどのようなフィーリングだったかを必ず問われた。
その返答によって、更に集中力をもって取り組むように、そのまま続けることによって感覚が得ることができるだろう、違う方法にトライしてみよう、などなどのメントが返ってきた。これが2WAYのレッスンの初体験だった。この経験が現在の指導スタイルに大きく影響をしていることは間違いないと思う。
現時点でテニス指導歴38年となり、テニスキャンプやワンデーレッスン、ラケットの相性診断などを通して、かなり多くのプレーヤーと接してきた。
何が課題でどのように感じているかを聞くと、いつも習っているコーチには○○ができていないと言われる、仲間からこう言われた、と答える方がほとんど。
それに対して、あなたがどう感じているかを改めて問うと戸惑いを感じるプレーヤーがほとんどで、もしくは自分ではわからないので、悪いところを指摘して欲しいと言われる方もいる。
その課題がどのような状態になりたいかを聞くと、できるようになりたいと言われる。しかしながら、そこには具体的なイメージを持ち合わせていないことがほとんど。
それでも、なんとか課題やフィーリングを探りだし、現時点での具体的なイメージを定めてもらい、体感をしてもらいどのように感じたかを聞くと、うまくできていたか否かを聞き返されることも度々。
感じようとした結果、現時点ではわからないと訴えてもらえば、そこに解決の糸口があり、どこに焦点を絞って取り組んでもらえばよいかわかり、再提案できるからだ。
私が2WAYのレッスンを体験してから30年を過ぎようとしているが、現在でも多くのスクールのレッスンを見ていると、コーチが欠点を指摘し、欠点の矯正方法をアドバイスし、その結果どうなっているかを指摘している光景が多々見られる。
コーチが主役になり、プレーヤー不在の練習になっている。
このような指導を受けているプレーヤーは、受動的な上達姿勢になることが多い。
上達するには、プレーヤーの能動的な上達姿勢があってこそ、上達する過程も楽しめるテニスができるのではないかと思う。
苦しみを感じながらプレーをしている方は一考してはいかがだろうか。
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